社内AI人材の育成により自前で業務改善を実現~AI人材育成講座「iLect」受講者インタビュー~
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社内AI人材の育成により自前で業務改善を実現~AI人材育成講座「iLect」受講者インタビュー~

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 様



ポーラ・オルビスグループではDX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性を認識していました。そこで社内でAI人材育成を掲げて、AI人材育成講座のiLectを受講しました。結果としてプログラミング未経験ばかりの受講者により、AIを用いた幅広い業務改善を実現しました。本記事ではiLectを受講した背景から、どのように業務改善に至ったかについてお話を伺いました。


【インタビューにご協力いただいた皆様】

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 足立浩之様
所属:事業開発室 課長
経歴と担当業務:2016年入社。2023年より事業開発室へ配属となり、新規事業開発に関する制度設計、事業化に向けた支援を行う。

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 総合企画室 吉村隆一郎様
所属:総合企画室 課長
経歴と担当業務:ポーラ・オルビスグループのDECENCIA(ディセンシア)にてデジタルマーケティングやSaaSに関するシステム企画を担当。後にAIスタートアップに転職後、2021年に足立氏からの誘いもありDXの企画推進担当として入社。

現場のデータを利用して問題解決まで行う「プロジェクトワークショップ」


ーーーポーラ・オルビス様は化粧品における大手という立場ですが、組織におけるデジタル戦略についてどんな課題があったのでしょうか。


足立:グループとしてITによって業務効率化するのか、あるいは新規事業で何らかのインパクトを出すことができないかを考えていました。いわば既存事業の推進のためにデータを活用するのか、あるいは今まで実現できなかったことをデータで実現するのかという2つの方向性です。


その上でまずやるべきこととして、売上を伸ばすためにデータを活用することが挙げられます。我々は化粧品のブランディング、製造、販売まで一貫して携わっており、業務を通して大量のデータを保有しています。例えば、お客様の顔写真や店頭におけるカウンセリングで得た情報など、現場にはさまざまな知見が溜まっています。しかしこうしたデータとしては保有しているものの、活用できていないデータというのがあります。いわば眠ったデータや埋もれたデータの方がずっと多いのです。こうしたデータを正しく扱うことができる人材を育成するため研修を企画しました。


ーーー今回受講されたiLectの研修は、エンジニア向けなので難易度も高いです。どのような背景でiLectを選定されたのでしょうか。


足立:研修の選定では複数社の候補があり、どれも素晴らしい内容でした。その中でiLectを選んだのは、理論やプログラミングを学ぶだけではなく、そこで学んだ知識やスキルを活かして、実際に現場のデータを利用して問題解決まで行う「プロジェクトワークショップ」を実施する等、より実践的なプログラムとなっていることが決め手でした。また、私自身が過去に東京大学の松尾豊教授の講座を受講したことがあり、iLectは東京大学からライセンスを受けている点も安心感がありました。


ーーー難易度の高いiLectの受講で反対意見などはありましたか?


足立:上司からはプログラミング未経験者にとっては難しすぎるのではという意見がありました。結果的に、プログラミング未経験の状態からプログラム修了後にはデータ分析コンペに参加する受講生もいて、手を動かしながら学ぶことの重要性を感じました。


吉村:たしかに難易度は高いですが、必要な学習範囲に合わせて内容のカスタマイズを提案いただきました。また、一通りの座学の研修が終わって終了ではなく、プロジェクトワークショップを通して、業務における課題を解決する流れまで実践できるので、受講後に実際の業務で活用していくことを、イメージしやすかった点も良かったと思います。



プログラミング未経験でも諦めなかったのはTA(ティーチング・アシスタント)のおかげ



ーーー難易度の高い講座で学習を継続できた理由は何があるでしょう。


足立:初めての取り組みなので試さなければわからない部分もありますし、結果的に全員が講座を修了できなかったのも事実です。特にプログラミングの初歩でつまづき、そのまま脱落した人もいます。一方でまったくの未経験から、データ分析コンペに参加するほど上達した社員もおります。学習を継続できた理由として、運営元のNABLASによるサポートがありました。特にTA(ティーチング・アシスタント)さんには、大変丁寧に対応いただきました。例えばエラーが出たら一緒にプログラムを見ながら原因を探り、修正方法まで詳しく解説いただけたのが良かったと思います。


また、毎週の講義後に行うアンケート結果を見ながら、難易度を調整したり難しいトピックを詳しく解説するなど、受講者が挫折しないように調整いただきました。特にプログラミングは、序盤で挫折するとあとの講義が全部無駄になってしまいます。そこで理解度が低い受講者に向けて少し前に遡って復習していただくなど、配慮いただきました。こうした受講者の理解に合わせた丁寧な進め方が、高い成果と満足度につながっています。


ーーープログラミングよりも理解しやすいExcelやノーコードツールによる講座は検討されましたか?


吉村:講座の選定段階では、Excelやノーコードツールも候補に挙がっていました。しかしプログラミングや理論から学ばなければ、ツールを使いこなせないのではという懸念もありました。そこで敢えて難易度は高いもののプログラミングや理論から学び、現場の課題を解決するプロジェクトワークショップにおいては、最適な手段を選べば良いと考えました。受講生達が複数の解決方法を検討した結果、プログラミングよりもExcelやノーコードツールが最適であればそれでも良いと思っていました。



技術習得だけではないメリット



ーーーiLectによる研修は社内でどのような反響がありましたか?


足立:当初は定員の枠が埋まるか不安もありました。しかし社内向けに告知イベントを行ったところ、100名を超える参加者から申し込みがありました。


ーーーiLectによって変化を感じたのはどんな場面でしょうか。


吉村:大きな変化を感じたのは、データ分析によって業務改善を実現するプロジェクトワークショップでした。プロジェクトワークショップの結果を社内イベントで発表したところ、業務時間中で長時間にもかかわらず、100名以上の社員が視聴したのは驚きでした。弊社は化粧品を扱っている関係から、美や芸術について関心が高い社員が多く、アートやデザインをテーマとする社内イベントは人気があります。しかしデータ分析のイベントでこれだけの社員が集まったのは、驚きでした。


ーーーiLectの受講によって得られた成果はどのようなものがありますか。


足立:当初の目標は実際のビジネスにAIを活用できるようになること。つまり、プログラミングの習得までは及ばずとも、エンジニアと同じ目線で会話をしながら企画立案ができることでした。例えば企画立案から外部のコンサルタントに丸投げしたとしても、内部にある程度知識のある者がいないのでは時間も費用もかかることが想定されます。そこで事業会社として、自分で手を動かしながらデジタルでやるべきことを理解し、エンジニアと同じ視座で取り組めることを目指しました。いわばビジネスとエンジニアリングをつなぐ通訳の役割ですね。


費用対効果としては、業務における課題解決を社員が実行できたので非常に高い成果がありました。今回のiLect受講では9つのチームが現場の課題解決に取り組み、それぞれが一定の成果を出せました。こうした課題の発見からデータ収集を行い、プログラミングとデータ分析によって問題を解決するという一連の流れを経験できたことは高く評価しています。



iLectで学習機会を定期的に作っていきたい


ーーー最後にポーラ・オルビスグループとしてiLectの評価はいかがでしょう。


吉村:受講者のみならず、社内の情報システム関係者に加えて、マネージャーや役員など管理職以上の層からも高い評価をいただきました。特に「プロジェクトワークショップにおける発表会のおかげで、AIやデータ分析における成果について明確なイメージを持てた」という声が印象的です。


足立:役員からも「プロジェクトワークショップと発表会が良かったので、次の講座も準備してほしい」と評価いただきました。また、店舗でお客様へ化粧品を販売する「ビューティーディレクター」にも、デジタルを前提とした業務遂行が必要と考えています。いまや従業員よりもお客様の方が、SNSやアプリなどデジタルに詳しいとはいかないでしょう。デジタルを通してお客様へ化粧品と体験を届けることが当たり前になっており、よりデジタルを活用すべきと考えています。


そしてiLectの受講は今回だけでなく、2回目以降の実施も考えています。さらにiLectの卒業生が増えれば、AIやデータ分析を活用できる場面も増えていきます。そこで定期的に新たなテーマを学習する機会を作りたいと考えています。iLectに加えて個別のセミナーや勉強会のような形で、定期的に学習とアップデートを続けられる環境を整備することで、データの利活用をポーラ・オルビスグループ全体に定着させていきます。



【インタビューにご協力いただいた企業様】

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 



【interviewer / writer】

マスクド・アナライズ

ITスタートアップ社員として、AIやデータサイエンスに関するSNSにおける情報発信で注目を集める。同社退職後は独立し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、人材育成、イベント登壇、記事や書籍の執筆などで活動中。執筆・寄稿歴はITmedia、ASCII.jp、Business Insider Japan、翔泳社など多数。著書に「データ分析の大学(MdN)」「AI・データ分析プロジェクトのすべて(技術評論社)」「未来IT図解 これからのデータサイエンスビジネス(MdN)」がある。



◾️iLect©︎(アイレクト)について

iLect©︎は、NABLAS社が運営するAI人材育成・人材開発サービスのブランドです。国内最高水準の講師陣、東京大学から正式にライセンスを受けている教育プログラム、AIに関する先端的な研究に従事するスタッフが中心となったサポート体制など、特色のある講座を提供しています。講義内で実施する演習には、独自に開発したプログラミング環境iLect Systemをご利用いただきます。Webブラウザ上からアクセス可能なGPU環境を利用できるため、事前の環境構築は不要です。より高い精度のAIモデルを目指して作りながら、実践的な技術やテクニックを学べる仕組みを整えています。

WEBサイト:https://www.ilect.net


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