株式会社ポーラ様
前回の記事では株式会社ポーラ・オルビスホールディングス様におけるAI人材育成という観点から、人事や組織の面からのiLect受講についてお話を伺いました。
今回はグループの中核として化粧品の製造販売を行う株式会社ポーラに所属する上田様から、現場の従業員における視点でプログラミング未経験からの学びや成長についてお伺いしました。
【インタビューにご協力いただいた皆様】
株式会社ポーラ 上田涼太様
SCM部・企画購買チーム
経歴と担当業務:2021年入社。学生時代から化粧品に関心があり、新卒として入社。担当は海外市場向けの販売業務。
TAのフォローで未経験でも理解を深められる
ーーーiLectへの応募にはどんな理由がありましたか。
上田:以前AIやデータ分析の導入に関するニュースを目にしており、私が担当する海外市場の需要予測にも活用したいと思っていました。そこで自分でもAIの勉強を始めたものの独学ではわからないことが多く、手詰まりになっていた時にiLectの募集があり、すぐに手を挙げました。
ーーー難易度の高いiLectですが受講前に不安はありましたか。
上田:プログラミングや数学、統計などは未経験だったので、やはり不安はありました。一方でそれらが独学でAIを学ぶ上での壁になっていたので、iLectを受講しながらわからないことはTA(ティーチング・アシスタント)さんに質問することで1つひとつ疑問点を解消していきました。TAさんは講義と直接関係ない部分も教えていただき、おかげで理解を深めることができました。
ーーー受講の継続にはTAの支援も大きいでしょうか。
上田:大きいと思います。理由は2つあって、1つ目はわからない点を親身になって教えてもらえたことでインプットの質が上がったことです。2つ目は上手くいかない原因が何なのか明確になったことです。未経験者にありがちなのですが、上手くいかない原因が自分の能力不足なのか、そもそも問題が難しいせいなのかわからないことがありました。その時にTAさんに相談することで、問題の難易度や解決のコツを知れたことが、継続する自信に繋がりました。例えばプログラミング講座の序盤でNumPy(※)の学習があったのですが、まだプログラミング学習を始めたばかりだったので戸惑いが大きかったです。そこでもTAさんに相談できたのは良かったです。
※NumPy(ナムパイ):プログラミング言語のPythonにおいて、数値計算を行う拡張モジュール。
周囲から配慮と理解があったことで学習時間を担保
ーーーiLectはどのように受講されましたか。
上田:私はすべてオンラインで受講しました。PCとネット環境があればどこでも学べるので、定常業務との棲み分けを図ることで、快適に学習を継続させることができました。
ーーーオンラインで手軽に受講できるものの、勉強時間の確保は苦労しましたか。
上田:場所問わず受講できるので、学習時間を担保するために工夫は必要でした。
講義中はチャットやメールの通知をオフにし、事前に社内メンバーに「講義中には連絡取れません」と伝えるなど、自主的に講義の時間を確保していました。事前に周囲を巻き込んでいたおかげで「iLectではどんなことをやっているの?」など、上長から声をかけていただく機会もあり、社内のコミュニケーションが増えたように感じています。
ーーー受講後にはどれぐらいプログラミングスキルが身につきましたか?
上田:まったくの初心者でしたが、受講後には業務における課題設定からデータ分析のためのAI開発、需要予測までの一連の流れを自力で行えるようになりました。iLectを通じてAIの活用方法を学べたのと同時に、AIがどのような仕組みで動いているかを理解できたことも成長やモチベーションにつながっていると感じています。AIを基礎から理解できたことで課題解決のソリューションが1つ増えたので、今後社内課題の解決に向けて活用していきたいです。
データ分析コンペに挑戦しています
ーーー講義の集大成となるプロジェクトワークショップはどのように取り組みましたか
上田:プロジェクトワークショップでは課題設定からデータ分析による解決として、海外市場の売上予測に取り組みました。チーム構成は部門長、私と同じ海外業務の担当、国内の物流担当、そして私という4人です。役割分担は私がプログラミング、部門長が作業全体のプロジェクトを管理し、 担当業務の経験が長い残りの2名にはデータ分析のアドバイスをいただくことにしました。この構成にしたのは、自分だけで分析しても視野が狭くなってしまい、正しいと思った結果も客観的に見ると問題があったためです。例えば私は時系列データに注目しがちでしたが、先輩社員からは業務知識や経験に基づいて商品カテゴリーから分析する方法を教えてもらいました。さらに国内市場でも商品の特性によって売れる要因が異なったり、新規客と既存客で売れ方が異なる点もアドバイスいただきました。また、市場規模が大きい中国では、文化的な背景も分析に反映されています。
部門長のガントチャートを用いた作業スケジュールの作成と進捗管理により、期限内で成果を出すことができました。また、普段の業務では直接関わらない部門のメンバーを交えて活発に議論することで、多くの新しい観点を得ることができたと感じています。こうした環境もあったおかげで、プロジェクトワークショップの発表会では好成績を残すことが出来ました。
ーーー最後にiLectでデータ分析スキルを身に着けた後は、どんなことに取り組みたいですか。
上田:私が担当している需要予測について、データ分析を活用できるデータサイエンティストになりたいです。弊社はデータに基づいて意思決定を行うデータドリブンが弱いので、需要予測に限らず他の分野でもデータ分析を通して貢献していきたいです。また、売上や在庫のような数字のデータだけでなく、画像や音声のデータ分析にも携わりたいです。
業務全体の改善としては、RPA(ロボティックプロセスオートメーション:人手による作業の自動化)は、弊社と相性が良いと考えています。人間による手続き業務などはまだまだ多く、手間がかかり間違いもあります。これをRPAによって効率化することで、伸びしろがあるでしょう。
個人的な活動ですがデータ分析コンペの「SIGNATE」に挑戦しており、こちらでも結果を出したいです。さらにデータ分析の基礎となる数学や統計などアカデミックな分野も勉強したいので、将来、受講できると嬉しいです。
【インタビューにご協力いただいた企業様】
株式会社ポーラ
【interviewer / writer】
マスクド・アナライズ
ITスタートアップ社員として、AIやデータサイエンスに関するSNSにおける情報発信で注目を集める。同社退職後は独立し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、人材育成、イベント登壇、記事や書籍の執筆などで活動中。執筆・寄稿歴はITmedia、ASCII.jp、Business Insider Japan、翔泳社など多数。著書に「データ分析の大学(MdN)」「AI・データ分析プロジェクトのすべて(技術評論社)」「未来IT図解 これからのデータサイエンスビジネス(MdN)」がある。
◾️iLect©︎(アイレクト)について
iLect©︎は、NABLAS社が運営するAI人材育成・人材開発サービスのブランドです。国内最高水準の講師陣、東京大学から正式にライセンスを受けている教育プログラム、AIに関する先端的な研究に従事するスタッフが中心となったサポート体制など、特色のある講座を提供しています。講義内で実施する演習には、独自に開発したプログラミング環境iLect Systemをご利用いただきます。Webブラウザ上からアクセス可能なGPU環境を利用できるため、事前の環境構築は不要です。より高い精度のAIモデルを目指して作りながら、実践的な技術やテクニックを学べる仕組みを整えています。
WEBサイト:https://www.ilect.net
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